八ヶ岳の小さな家


2013 山梨県 北杜市
大人1人
木造平屋建
延床 37.46㎡
施工 北伸建設株式会社

新建築 住宅特集 2013.9

建主はこれまで関東で暮らしてきた80歳の御婦人。写真家の御主人が数年前に亡くなり、その後 八ヶ岳山麓に愛犬と新たな生活を始めるため、この家をつくった。建主の思い描くここでの生活は、大自然の中に小さな家をつくり、持ち物も整理して、新たな気持ちでこれからの人生に向かおうというもの。生きることは毎日を繰り返すことともいえるが、この建築が日々の気持ちを少しでもプラスに向ける手助けとなり、小さいながらも明日への希望のための家となることが私の実現したい建築の質で あった。
この建築は、間口7.2m、桁行5.9mの矩計を囲む4つの立面と天井スラブ の面剛性により構造的に成立している。この隅の2カ所を外の部屋とし、キッチンユニットを中央に置き、バスルームの北側に出して配した。それらの間には、ダイニングや寝室など4カ所の領域が生まれた。天井付近は柱以外に遮るものがないので視線が 通り、建築の輪郭を目にすることができる。すべての開口部は天井まで達し、光は天井に沿って奥まで届く。外部に張ったサワラ材は、表皮であることをそのまま見せる納まりとした。 構造の仕組みや材料の納め方など、構成要素をすべて「現し」にする設計がこの家の簡素な佇まいにつながっている。