敷地全体に渡って外部空間を楽しめるよう平家建てとした。ここでは家をひとつの塊とせず、形や大きさの異なる4つの棟に分け、それを一列に連結した。4つの棟には車庫、寝室、水周り、居間・台所が納まる。 各々の棟は平面的には矩形だが、それぞれ屋根の向きを変えており、そのために家の中では変化のある空間を楽しむ事ができる。凹凸が多い平面計画は緑を奥の方まで引き込む事を可能にし、通風や採光の点で具合が良い。隣接する棟の屋根の高さや向きが違うので、屋根のズレた部分の天井附近には開口部を穿つ事ができる。そこからは空を、あるいは陽光を、あるいは月を楽しむ事ができる。 室内の仕上げは、杉、桧、漆喰が使われている。

左:模型。大きさも形も違う5種類のおでん種を、1本の串でつないだような構成になっています。
右:北西外観。平屋にすることで、周囲に対して威圧感のない建物としています。


左:西側外観。黒い板張りの箱は駐車場。その右隣は玄関アプローチ入口
右:南西外観。庭の木々が建物をやわらかく包みます。また、植栽は道路からの視線を遮る役割を果たしています。



左:玄関。玄関ドアの両脇に窓を設けることで、柔らかい光が入るようにしています。右側は6畳の和室。
右:玄関から続く廊下。左側はトイレ、右側は造付け本棚の裏に浴室があります。天井の低い廊下の奥には広い居間があり、空間にメリハリをつけています。

ダイニングキッチン。大きなアイランドキッチンは、大勢で囲んで料理ができます。キッチン右横の部屋は、3畳ほどのパントリー。キッチンからの動線に配慮した位置に計画しています。

キッチンから居間を見る。大きな窓に面してテラスがあり、庭を眺めながら外で食事をすることもできます。室内の床はヒノキ、壁は漆喰、天井は杉板張り。節の少ない木材を使用することで、落ち着いた空間にしています。

左:居間に面したテラス。
右:居間からテラスと庭を見る。大きな窓が庭の景色を室内へ取込みます。照明は空間を遮らないよう、小ぶりのペンダントライトとしています。

用途 | 専用住宅 |
竣工 | 2006年 |
場所 | 福島県 いわき市 |
完成時の居住者 | 夫婦 |
構造 | 木造平屋建 |
延床面積 | 133.95㎡ |
施工 | 田村建材 |
受賞等 | 日本建築家協会優秀建築選2007選出 |