斜面地に建つ3層の建築。半分地中にもぐった1階が伊藤寛アトリエ、上2層が伊藤自邸。起伏のある周囲の緑の中で、建築の佇まいを出来る限り美しいものにしようと、ここでは単純ではっきりとした八角形の外観とし、外側の輪郭には何も付加していない。玄関ポーチやベランダなどの外部空間が全て八角形の輪郭の中に納められている。
室内の外周部には1階から3階まで全てに渡り杉の細巾板を目透かしで張り、最上階の天井は屋根の傾斜なりに突き付けで張っている。家中どこからも幾何学的な家の輪郭を強く意識することができ、穿たれた開口部からは八方に開いた風景を楽しむことができる。
左:敷地周辺図。緑に囲まれた高台の傾斜地に位置しています。
右:夕方の建物外観。傾斜地に建つため、建物の半分は地中に埋まっています。1階事務所へは左下のアプローチデッキから、2階〜3階部分の住居へは右上のドアからそれぞれ出入りします。
1階事務所。半地下となっており、コンクリート壁が立ち上がった部分は地中に埋まっています。右側コンクリート壁の上部はロフト。窓の高さは、席に座った際に外の緑を眺められるように設計されています。
住居部分の玄関。階段を3段下りた左奥は2階部分。子供室や水廻りとなっています。右側階段を上ると、3階の居間やキッチンへと続きます。
3階のキッチンとダイニング。天井に達する壁はなく、どこに居ても八角形の輪郭を見渡すことができます。
右側の小上がりスペースは、居間となっています。床はサワラ、壁と天井は小幅の杉板張り。左奥は妻のアトリエ。
左:キッチン。家の輪郭に沿った造作。窓の外に目をやると、緑豊かな景色を見渡せます。奥は外物置やゴミ置場があるサービスヤードとなっています。
右:妻のアトリエ。壁で完全に仕切られていないため、居間にいる家族の気配を感じることができます。
2階にある息子の部屋。造作棚で緩やかに仕切られた奥は、娘の部屋。
用途 | 伊藤自邸+アトリエ |
竣工 | 2004年 |
場所 | 神奈川県 川崎市 |
完成時の居住者 | 夫婦+子供2人 |
構造 | RC+木造3階建 |
延床面積 | 121.21㎡ |
施工 | 渡辺富工務店 |
受賞等 | 2005年東京建築士会住宅建築賞受賞
日本建築家協会優秀建築選2005選出 |