化学物質過敏症の夫妻のための家。身近なものが発する化学物質や生活による汚染を考え合わせ、空気の清浄度のレベルを段階に分けてゾーニングした。夫婦間の化学物質に対する許容度が異なったため、中間領域を挟んで両者の領域を分離した。また、化学物質が揮発しやすい高温多湿を避けるため、天井の高い片流れ空間をつくるなどして、自然換気ができる空気の設計を行った。そして内装材のほととんどは杉を使用。軒の深い縁側は広々とした印象をもたらし、化学物質を含んだものを自然の空気にさらして毒抜きする場にもなる。草木で彩られた庭は気分を和らげている。昔ながらの材料や工法による家づくりが、この家の設計のヒントになった。

右:西側外観。住宅街の中に位置し、3方が道路に面した台形のような敷地に建っています。
左:南側外観。建物内へは駐車スペースの左隣にある小道からアプローチします。万が一の車いす使用に備え、スロープとしました。


左:外部デッキ。深い軒下空間になっており、玄関ポーチや縁側としての役割を果たします。
右:東側外観。外壁と塀は杉板張り。年月とともに落ち着いた色味になりました。


平面プランと各室の空気清浄度を表したダイアグラム。夫婦間で症状が異なるため、各々の領域を別々に確保し、双方の中間にダイニング等の共用空間を配置しています。また、各室の色分けは、空気清浄度を表しています。空気汚染度が高い部屋と低い部屋を分け、空気が混ざらないようにしています。

右:ダイニング。化学物質が揮発しやすい高温多湿を避け、自然換気ができるよう天井の高い片流れ空間とし、天井付近に換気窓を設けています。
左:ダイニングからキッチン方向を見る。キッチンは、合板が使用されているシステムキッチンは避け、業務用のステンレス製にしています。左側の板張り壁の裏は浴室。


右:ご主人の部屋。室内に張った杉板は、調湿機能があるため冬は暖かく、夏はさらっとしています。ガラスの引戸の奥はご主人専用の玄関。
左:ご主人の部屋からダイニング方向を見る。ダイニングの奥は奥様の部屋があります。それぞれの部屋を仕切る建具はガラス戸にすることで、気配や視線が通るようにしています。


右:奥様の部屋。窓からは多くの草木に彩られた庭が見え、気分を和らげます。
左:奥様の部屋からダイニング方向を見る。床と壁はイタヤカエデ、天井は杉板張り。

用途 | 専用住宅 |
竣工 | 2004年 |
場所 | 茨城県 牛久市 |
完成時の居住者 | 夫婦 |
構造 | 木造平屋建 |
延床面積 | 58.02㎡ |
施工 | 今井建築 |